「原則的時価算定」とは、企業会計基準等において求めることとされている不動産の価格を「財表価格調査の基本的考え方」に定める方法により求める価格調査をいい、原則として不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価(フルスペックの鑑定評価)を行う。
例外としては、不動産鑑定評価基準に則ることができない場合や、不動産鑑定評価基準に則らないことに合理的な理由がある場合は、不動産鑑定評価基準に則らない価格調査(一つ以上の評価手法を用いて行う簡便な価格調査で、フルスペックの鑑定評価とは異なる)を行う。
原則的時価算定を行った場合には、成果報告書にその旨を記載しなければならない。
〔不動産鑑定評価基準に則らない価格調査の例示〕
- 造成工事中又は建築工事中の状態を所与として対象不動産に建物以外の建設仮勘定(未竣工建物及び構築物に係る既施工部分)を含む価格調査を行う場合。
- 造成工事又は建築工事の完了後の状態を前提として行う価格調査で、不動産鑑定評価基準に定める未竣工建物等鑑定評価を行うための要件を満たさないものを行う場合。
- 自ら実地調査を行い又は過去に行ったことがあり、直近に行った不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価の価格時点又はそれ以外の原則的時価算定を行った価格調査の時点と比較して、当該不動産の個別的要因並びに当該不動産の用途や所在地に鑑みて公示価格その他地価に関する指標や取引価格、賃料、利回り等の一般的要因及び地域要因に重要な変化がないと認められる不動産の再評価※を行う場合。
※グローバル投資パフォーマンス基準(GIPS:Global Investment Performance Standards)に従えば、少なくても3年毎に不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価を行う必要があるが、その間の2年間は、不動産鑑定評価基準に則らない価格調査で差し支えないとされる。