不動産鑑定評価基準による価格概念で、「市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格」をいう。
投資家保護等の社会的要請から、鑑定評価において正常価格を求めることが妥当ではない場合に求められる価格である。
不動産鑑定評価基準では、特定価格を求める場合の一例として、証券化対象不動産に係る鑑定評価において投資家に示すための投資採算価値を求める場合を挙げている。
但し、下記2要件を満たす場合には「正常価格=特定価格」となるため、求める価格は正常価格となる。
(1)証券化スキームによる不動産(特定資産)の運用方法が当該不動産の最有効使用と同じであること。
(2)当該不動産の属する市場において投資採算価値を標準(基準)として価格が形成されていると認められること。
このため、証券化対象不動産に係る鑑定評価実務においては、正常価格を求めることが一般的となっている。