採算分析

採算分析

BER(Break-even Ratio)

不動産賃貸事業等における運営費用と借入金返済額の合計額を可能総収入(当該不動産が満室稼働した場合に得られるであろう運営収益)で除して求めた比率(損益分岐比率)をいう。

不動産賃貸運営の健全性を示す指標の一つで、その値が小さいほど賃料が下落した場合や空室率が上昇した場合でも、不動産賃貸収支が赤字に陥るリスクが小さいことを表す。

BER=(運営費用+借入金返済額)/可能総収入 
(上限)空室率=1-BER

DSCR(Debt Service Coverage Ratio)

不動産から得られる年間運営純収益(NOI)を借入金の年間元利返済額で除して求める「借入金償還余裕率」のことをいう。借入金返済の安全性を測る尺度で、不動産賃貸事業への資金融資の合理性及び安全性の判断や社債等の格付けを行う際の信用レベル査定に使われる。

DSCRが大きいほどデフォルトの可能性が低く、安全性が高いといえる。1.0未満の場合は、借入金返済後のキャッシュフローがマイナスになり、その期(年度)の運営純収益で元利金返済を賄いきれないので、1.2~1.3以上がローリスク物件の最低ラインとなる。

IRR(Internal Rate of Return)

初期投資額(不動産価格)と当該不動産が将来生み出すキャッシュフローの現在価値の総和が等しくなるような割引率、つまり、NPV(Net Present Value・正味現在価値)が0となる割引率(次式のr)のことをいい、自己資本投資に対する投資採算性を判断する上での有効な指標のひとつで、内部収益率(投資収益率)ともいう。

IRRの高次代数方程式

IRRは上記の高次代数方程式を数値的に解くことにより求められるが、キャッシュフロー上で正負の変化が2回以上あるケースなど、複数の実数解を含む場合があることに留意する必要がある。

LTV(Loan To Value)

社債・借入金等の負債額を資産価値で除した「借入金比率」のことで、DSCR(借入金償還余裕率)と並んで借入金返済の安全性を測る尺度である。数値が小さいほど負債の元本償還に対する安全性が高い(LTV=負債残高/資産価値)。

LTVが高くなるとレバレッジ(資金調達を自己資本と借入金を組み合わせて行うこと)が効くので、借入金利が自己資本収益率よりも低い場合には、自己資本に対する利回りが向上するが、デフォルトの際のリスクは増大する。また、格付機関は格付けレベルに対応するLTVとDSCRの数値基準を設定しており、格付けごとにLTVの基準レンジが決まっている。

NCF(Net Cash Flow)

不動産賃貸事業等における収益概念で、NOIから資本的支出(大規模修繕費・修繕積立金等)を控除したネット現金収入を意味する。NOIもNCFも不動産賃貸事業等によって生み出されるキャッシュフローを表すものであり、不動産の売買損益や資金調達コスト等を含まない概念である。

鑑定評価においては「純収益」と表現されるのが一般的で、NOIに敷金等の預かり一時金の運用益を加算した後、資本的支出を控除して算出される。鑑定評価における収益還元法(DC法・DCF法)の適用に際しては、NCFに対する利回り(Cr、Dr、Tr)を適用するのが標準的である。

NOI(Net Operating Income)

不動産賃貸事業等における収益概念で、運営収益(総賃貸収入)から運営費用(借入金返済額や資本的支出を控除する前の費用)を控除した正味営業収益をいい、鑑定評価においては「運営純収益」と表現されるのが一般的である。

運営収益としては、貸室賃料収入、共益費収入、水道光熱費収入、駐車場収入、その他収入が、運営費用としては、維持管理費、水道光熱費、修繕費(資本的支出等の大規模修繕費用は除く)、テナント募集費用等、公租公課、損害保険料、その他費用がある。

NOIは日常的な不動産賃貸運営から得られる現金収入であり、NPV(正味現在価値)やIRR(内部収益率)といった投資指標を算定する際の収益として採用される。

OER(Operating Expense Ratio)

不動産賃貸事業等における運営費用の運営収益(総賃貸収入)に対する割合(運営経費率)をいい、賃貸収入(賃料収入や駐車場収入等)を得るために、どの程度の運営費用が費やされたかを計る指標である。

鑑定評価においては、通常、維持管理費、水道光熱費、修繕費(資本的支出等の大規模修繕費用は除く)、テナント募集費用等、公租公課、損害保険料、その他費用を運営費用として計上する。

OER=運営費用/運営収益

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