現物分割とは、相続財産をそのままの形で相続人に分配する方法です。
たとえば、土地や建物、株式、現金、車、 ゴルフ会員権などを具体的に分割し、それぞれの相続人が持ち分を取得します。
本記事では、現物分割の基本的な仕組みやメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。
現物分割とは?
現物分割とは、亡くなった家族の相続財産をそのままの形で相続人全員に分割する方法です。不動産などの資産を具体的に区分し、相続人それぞれに割り当てる形式を指します。この手法は、相続人が受け取る財産を具体的に明示することができ、物理的に分けることが可能な資産について効果を発揮します。
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具体的には、遺産分割協議によってどの資産を誰が受け取るかを決め、相続人間で物理的に分割します。
たとえば、一つの土地を複数の相続人間で分けたり、一軒の家とその土地を別々の相続人に割り当てたりします。
この方式は具体性が高い点が特徴であり、資産価値をそのまま受け取ることができるため、物理的に分割が容易な場合に適しています。
現物分割のメリットとデメリット
メリット① 具体性の確保
現物分割では、相続人それぞれが具体的な財産を取得するため、各自の持ち分がはっきりと分かります。これにより、相続人間での認識の違いやトラブルを避けることができるほか、受け取る財産の現状を理解した上で相続手続きを進めることができます。
メリット② 資産価値のそのままの受け取りができる
現物分割は、不動産や高価な物品をそのままの形で受け取ることができるため、売却の手間や税金の問題を回避することができます。また、現金では表現しきれない特定の財産の価値をそのまま享受することが可能です。
デメリット① 分割の困難さ
しかし、場合によっては資産の物理的な分割が困難なことがあります。例えば、土地を正確に区分けすることが難しい場合や、一つの不動産に対する希望が相続人間で異なる場合などです。こうした状況では、公平な分割が難しくなり、トラブルが発生するリスクがあります。
デメリット② 価値の均衡がとれないケース
現物分割では、相続人同士の取得財産の価値が異なる場合もあります。
例えば、一つの高額な不動産の価値と他の資産の価値を均衡させるために追加の補填が必要になる場合や、物理的に同等の価値がない場合などです。このような状況を避けるためには、仮に均等な評価額で財産を分けることが難しいと判断される場合、他の分割手法を使用する方が無難です。
現物分割が難しいケース
- 建物など、物理的に分割が不可能な場合
一戸建てや集合住宅などは分割が不可能なため、現物分割は適用されません。
- 共有物の価値が大幅に下がる場合
狭い土地や形状が不整形な土地は、分割後に価値が著しく下がる可能性があります。また、都市部では敷地面積制限により、土地活用が制限されるケースもあります。
まとめ
現物分割には、具体的な財産を取得することで価値をはっきりと把握できるという利点があります。一方で、特定の条件下では分割の困難さや不公平な評価が発生する可能性があり、注意が必要です。現物分割を選択する際には、法的手続きや財産評価を専門家に依頼し、公正かつ明確な分割を目指すことが重要となります。
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