スタッフコラム

東京

ゲーム理論

ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催されています。
プールAで予選を戦う日本代表が優勝候補のアイルランドを破り、大いに盛り上がりをみせています。
そこで、日本代表の準々決勝進出祈願のため、期間限定で「丸の内ビルディング」に建立された「ラグビー神社」へお参りしてきました。
むろん、我らが日本代表は、予選1位通過を目指します。
プールAは、プールBと準々決勝で対戦するのですが、その対戦相手は、1位通過ならば、南アフリカ、2位通過ならニュージーランドと予想されています。
日本に限らず、どのチームも絶対的王者のニュージーランドとはあたりたくないわけです。

元日本代表主将廣瀬さん

ところで、先日の「日本 VS アイルランド戦」をTV観戦したのですが、最後に興味深いプレーがありました。
フルタイムを告げるホーンがなって残りワンプレー。
日本に自陣深く攻め込まれていたアイルランドは、最後の最後に日本からボールを奪うことに成功したにも関わらず、わざと外へボールを蹴り出して、試合を終了させました。
点差は7点差、そこからトライ(5点)を決めてコンバージョンキック(2点)に成功すれば、引き分けとなり、勝ち点2をゲットできるのですが・・・。
選手の心理としては、負けたくない、可能性があるのなら引き分けに持ち込みたいはずです。
一瞬、誰もがどうして?理解に苦しみます。
実際、キックミスか?といったアナウンサーもいたようですが、ある解説者が「勝ち点1を取りにきたのかもしれない」といいました。
(負けても7点差以内なら勝ち点1が付与される)

なるほど、まさにこれがゲーム理論なんだと「不動産鑑定士試験」の経済学を思いだしました。
ここでアイルランドの取り得る戦略は二つ。
①ゲームを続行し、引き分けて勝ち点2を狙う。
②ゲームを終了し、勝ち点1を確実にゲットする。
常識的には①なのですが、じつは、ハイリスク・ハイリターン。
アイルランドがゲーム続行を選択すれば、日本としては、もう負けることはないので、より積極的に攻めてくる。もし、この位置で自分たちが反則をすれば、ペナルティゴール(3点)を奪われて勝ち点ゼロ。しかもこの日の試合運びからその可能性は極めて高い。
さらに疲れきっているこの時間、怪我のリスクだってあります。
一方、②は日本の出方にかかわらず、ノーリスクです。強いて言えば、プライドを捨てて負けを認めることくらいでしょうか。アイルランドは両者を天秤にかけて瞬時に最適解を計算したのですね。

アイルランドとしても1位で予選通過したい。日本の残り2戦のうち一つは、強豪スコットランドなので、今後を見据えた冷静なプレーだったと大いに感心しました。

ラグビー神社1

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