港区中古マンション取引動向 ~ オーナーチェンジ物件
2023年第1期四半期に成約した港区における中古マンションの取引事例295件をいわゆるオーナーチェンジ物件とそれ以外の物件に峻別してまとめてみました。
目次
Ⅰ.オーナーチェンジ物件(OC)とそれ以外の取引の概要
港区の中古マンションは、資産性の高さから個人の投資物件として取引されることは珍しくありません。また、いわゆるパワーカップルと呼ばれる方々の選好度も高く、新築物件の高騰による取得困難もあって活発に取引されています。
今回は23年1月~3月までに取引された事例の比較を行っています。対象は、オーナーチェンジ(OC)と呼ばれている、現在、賃貸中の取引物件とそれ以外の(転売目的の物件も含まれている可能性はあります)主として自己居住用に購入された物件に峻別して纏めました。ただし、全ての取引が含まれるわけではありませんし、正確性を保証するものではありませんのでご注意下さい。
結果は、以下のとおりです。
港区中古マンションの取引状況(23年q1期) |
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オーナーチェンジ(OC) |
オーナーチェンジ(OC)以外 |
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坪単価(平均) |
454万円 |
508万円 |
専有面積(平均) |
41㎡ |
61㎡ |
所在階層(平均) |
8F |
11F |
建築年(平均) |
26年 |
22年 |
成約件数 |
38件 |
257件 |
Ⅱ.OCとOC以外の取引のミクロ分析
価格形成要因のうち、主要な指標をオーナーチェンジ物件とそれ以外の物件で調べまとめてみました。
1.坪単価と面積
マンションの場合、一般に面積が大きくなると、総額が嵩み、需要が減退することから単価は下がる傾向があります。しかし、例外的に高級物件ほど好まれて、これと逆の動きを見せること(負の相関)ケースがあります。予想ではオーナージェン時は負の相関が弱いと思われましたが、今回の調査では、オーナーチェンジもそれ以外もあまり差がありませんでした。
2.坪単価と築年数
オーナーチェンジもそれ以外も決定係数R2が0.5を超えているので、坪単価と築年数には比較的強い相関が認められるといえそうです。ただし、オーナーチェンジの方がその傾向が強く出ています。
3.坪単価と階層
マンションは、高層階ほど高く取引され傾向があります。この傾向は、オーナーチェンジにやや認められています。これは、賃料が階層により明確に差別化されていることがストレートに反映されたからかもしえません。オーナーチェンジ以外の物件は、階層以外の要因が強めに作用しているものと思われます。なお、X軸のマイナスは、港区は傾斜地が多く、表示上、地下階扱いの物件があるためです。
Ⅲ.取引のボリュームゾーン
取引のボリュームゾーンはどこにあるか、オーナーチェンジとそれ以外で差があるかを見てみます。
1.単価別件数
オーナーチェンジの単価は、約400万円がボリュームゾーンでした。それ以外は、約300万円前半が最も多く、単価が高くなるにつれて取引が右から下がりに減って行きます。
2.面積別件数
面積をみてみると、オーナーチェンジはワンルームやコンパクトタイプが多くなっています。一方、オーナーチェンジ以外では、60㎡前後のファミリータイプを中心に取引件数が正規分布形になっており、実需を反映した結果といえます。
3.総額別件数
総額でみた場合の売れ筋とでもいうのでしょうか、取引の傾向をみてみます。オーナーチェンジでは、2000万円前後にピークがあり、それ以外はバラバラです。右側に裾が長い分布です。オーナーチェンジ以外の物件は、約Ⅰ億2千万円以下が非常に多く、概ね1億円がピークのようです。1億3千万円を超えると極端に取引が少なくなります。ここからは、新築物件と競合するからかもしれません。
4.築年別件数
取引の多い築年をみてみます。オーナーチェンジもそれ以外も類似の傾向のようです。どちらも約15年と約40年付近にピークがあり、築30年前後の物件は、ほとんど取引がありません。この時期は、港区内のマンション供給が少ない時期に該当するからではないかと思われます。
5.階層別件数
最後に階層別件数をみてみます。オーナーチェンジは、比較的低層階が多く10F以下に集中し、ピークは7F-9Fでした。一方、オーナーチェンジ以外は、意外にもピークは、3F-5Fで、次が1F-3Fでした。港区はタワーマンションのイメージがありますが、高層階の山は25F-27Fで、それ以外の階はは概ねまんべんなく取引されていますが、タワーマンションは新築と被るのか、意外と取引が少ない印象を受けました。
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