1、都道府県別・用途別対前年平均変動率
大阪圏の平均変動率は、住宅地は+0.1%と2年ぶりに上昇し、商業地は±0.0%で前年の下落から横ばいに転じた。工業地は+2.5%で7年連続の上昇で、上昇率は拡大している。
(変動率:%)
住宅地 | 商業地 | 工業地 | ||||
令和3年 | 令和4年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和3年 | 令和4年 | |
京都府 | △ 0.6 | 0.1 | △ 1.8 | 0.5 | △ 0.3 | 2.2 |
大阪府 | △ 0.5 | 0.1 | △2.1 | △ 0.2 | 0.5 | 2.2 |
兵庫県 | △ 0.6 | △ 0.1 | △ 0.8 | 0.0 | 1.3 | 2.5 |
奈良県 | △ 0.8 | △ 0.7 | △ 1.8 | △ 0.8 | 0.8 | 1.3 |
大阪圏 | △ 0.5 | 0.1 | △ 1.8 | 0.0 | 0.6 | 2.5 |
※大阪圏とは、近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む市町村の区域。
2、大阪府の地域別対前年平均変動率
1、全体の動向
大阪府の1年間の地価動向として、住宅地は変動率が+0.1%上昇(前年△0.5%)で2年ぶりの上昇となり、商業地は変動率が△0.2%(前年△2.1%)と2年連続の下落となった。
2、住宅地の動向
- 大阪市では、+0.6%上昇(前年△0.1%)。全 24 区のうち、都島区、福島区、天王寺区、城東区、阿倍野区、淀川区及び中央区の7区が上昇を継続し、西区、東淀川区、東成区、旭区、鶴見区及び北区の6区で横ばいから上昇、此花区、港区、浪速区、生野区、住吉区、西成区及び平野区の7区で下落から上昇となった。また、西淀川区及び住之江区で下落から横ばいとなったが、大正区及び東住吉区で下落が継続している。大阪都心部に位置し利便性や住環境が良好なマンション適地である大阪天王寺-6が+6.6%の上昇となり、府内住宅地の地価上昇率第1位となった。
- 堺市では、+1.2%上昇(前年△0.3%)。全7区のうち堺区、中区、東区、西区、北区及び美原区の6区で下落から上昇、南区で下落から横ばいとなった。
- 北大阪地域では、+0.4%上昇(前年△0.1%)。大阪・京都への交通利便性が高い住宅地や鉄道駅徒歩圏のマンションの需要が堅調で、池田市、茨木市、箕面市及び島本町で上昇が継続、豊中市で横ばいから上昇、吹田市、高槻市で下落から上昇となった。また、摂津市で下落から横ばいとなったが、豊能町、能勢町で下落が継続している。
- 東大阪及び南大阪地域では、枚方市、高石市及び大阪狭山市で下落から上昇となった。それ以外の多くの市町村で下落が続いているが、下落率は全般に縮小している。
3、商業地の動向
- 大阪市では、△1.1%下落(前年△4.4%)。全 24 区のうち東成区、城東区及び鶴見区の3区は横ばいから上昇、都島区、此花区、港区、大正区、西淀川区、東淀川区、旭区、西成区、住之江区及び平野区の10区で下落から上昇となった。また、生野区、淀川区で下落から横ばいとなった。一方、福島区、西区、天王寺区、浪速区、阿倍野区、住吉区、東住吉区、北区及び中央区の9区で下落が継続している。
梅田地区では、店舗、ホテル等の収益性の低下が見られるものの、人流は回復傾向にあり、オフィスは比較的堅調であるなど、下落率は縮小した。心斎橋・なんばエリアでは、新型コロナの影響による国内外の観光客の減少から店舗、ホテル等の需要が減少しており、インバウンドへの依存度が大きかった地点ほどその影響は大きくなっており、継続して下落しているが、人流は回復傾向にあり、下落率は縮小した。” - 堺市では、+2.3%上昇(前年△1.6%)。全7区のうち、中区、南区は横ばいから上昇、堺区、東区、西区及び北区で下落から上昇となった。また、前年選定替の美原区も上昇となった。
- 北大阪地域では、箕面市、豊中市、池田市、高槻市、茨木市、島本町で上昇が継続しており、吹田市、摂津市で下落から上昇となった。北大阪急行延伸に伴い新駅設置が見込まれる箕面5-4が+7.5%の上昇となり、府内商業地の地価上昇率第1位となった。
- 東大阪び南大阪地域では、枚方市が上昇を継続し、八尾市、寝屋川市、門真市及び交野市で横ばいから上昇、守口市、泉佐野市、和泉市で下落から上昇となった。富田林市、柏原市、藤井寺市、泉南市、大阪狭山市及び阪南市で横ばいが継続、貝塚市、羽曳野市、高石市及び熊取町で下落から横ばいとなった。松原市で横ばいから下落となり、その他の市では下落が継続している。
(変動率:%)
住宅地 | 商業地 | |||||
令和3年 | 令和4年 | 令和3年 | 令和4年 | |||
大阪府 | △0.5 | 0.1 | △2.1 | △0.2 | ||
大阪市 | △0.1 | 0.6 | △4.4 | △1.1 | ||
中心6区 | 1.1 | 1.8 | △5.9 | △1.8 | ||
北大阪 | △0.1 | 0.4 | 0.2 | 1.0 | ||
東大阪 | △0.6 | △0.2 | △0.1 | 0.2 | ||
南大阪 | △0.8 | △0.1 | △0.6 | 0.5 | ||
堺市 | △0.3 | 1.2 | △1.6 | 2.3 |
(注)
- 中心6区:福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区の各区
- 北大阪:豊中市、池田市、吹田市、高槻市、茨木市、箕面市、摂津市、島本町、豊能町、能勢町
- 東大阪:守口市、枚方市、八尾市、寝屋川市、大東市、柏原市、門真市、東大阪市、 四條畷市、交野市
- 南大阪:大阪市、北大阪、東大阪を除くその他の大阪府
3、兵庫県の地域別対前年平均変動率
1、全体の動向
兵庫県のうち大阪圏に存する圏域の1年間の地価動向として、変動率は住宅地が+0.4%上昇(前年△0.2%)、商業地が+0.5%上昇(前年△0.5%)となった。
2、住宅地の動向
- 神戸市では、+0.2%上昇(前年△0.3%)。全 9 区のうち、東灘区、灘区で上昇が継続、中央区で横ばいから上昇、兵庫区、垂水区で下落から上昇となった。また、須磨区で下落から横ばいとなり、長田区、北区及び西区で下落が継続している。市内でも利便性と住環境が良好な灘区、東灘区は安定した需要を有し、複数の鉄道路線が利用可能な利便性に優れた住宅地域である神戸灘-10が上昇率+4.4%で県内住宅地の地価上昇率第1位となったほか、上昇率上位5地点は、灘区内の地点となっている。
- 阪神地域では、芦屋市、伊丹市、宝塚市が上昇を継続し、尼崎市、西宮市及び川西市で下落から上昇となった。大阪・神戸への通勤・通学圏に位置することから住宅需要は比較的安定しており、芦屋市、伊丹市、宝塚市は上昇幅が拡大している。
3、商業地の動向
- 神戸市では、△0.3%下落(前年△1.8%)となった。全9区のうち、東灘区、灘区、須磨区、垂水区及び北区の5区で上昇が継続し、兵庫区で横ばいから上昇となった。また、西区で下落から横ばいとなったが、長田区、中央区で下落が継続している。中央区の三宮周辺では、店舗・ホテル等の収益性の低下が見られるものの、下落地点の下落率は縮小傾向にある。ただし、三宮センター街では特に規模の大きな店舗の需要減退が顕著となっている。
- 阪神地域では、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市及び川西市で上昇が継続し、三田市は横ばいから上昇となった。インバウンド需要の影響が小さく、JR芦屋駅前に立地する芦屋5-1が上昇率+6.0%で県内商業地の地価上昇率第1位となったほか、上昇率上位5位までの地点は、阪神地域内の商業地が占めている。
(変動率:%)
住宅地 | 商業地 | |||||
令和3年 | 令和4年 | 令和3年 | 令和4年 | |||
兵庫県(注1) | △0.2 | 0.4 | △0.5 | 0.5 | ||
神戸市 | △0.3 | 0.2 | △1.8 | △0.3 | ||
東部4区(注2) | 0.4 | 1.1 | △2.8 | △0.8 | ||
阪 神 地 域 | △0.1 | 0.5 | 0.9 | 1.5 |
(注1)兵庫県のうち大阪圏の圏域の変動率
(注2)神戸市の東部4区とは、東灘区、灘区、兵庫区、中央区の各区。阪神地域とは、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町。
4、京都府の地域別対前年平均変動率
1、全体の動向
京都府のうち大阪圏に存する圏域の1年間の地価動向として、変動率は住宅地が+0.2%上昇(前年△0.6%)、商業地が+0.7%上昇(前年△1.9%)となった。
2、住宅地の動向
- 京都市では、+0.5%上昇(前年△0.4%)。全 11 区のうち、中心部の上京区、中京区、下京区の3区で上昇が継続、北区、左京区、東山区、南区、右京区、西京区の6区で下落から上昇に転じた。また、伏見区、山科区で下落が継続している。京都都心部に位置し、利便性と住環境が良好なマンション適地である京都上京-13が上昇率+6.3%で、府内住宅地の地価上昇率第1位となった。
- 京都市以外の圏域内市町では、京都市近郊の長岡京市は、阪急線、JR 線の 2 路線利用可能な京阪間のベッドタウンとして需要が堅調で上昇が継続し、宇治市、向日市、大山崎町及び久御山町では、下落から上昇となった。また、城陽市では、下落から横ばいとなった。
3、商業地の動向
- 京都市では、+0.7%上昇(前年△2.1%)。全 11 区のうち、北区、上京区、左京区、中京区、東山区、下京区、右京区、西京区の8区で下落から上昇となった。また、南区、伏見区及び山科区で下落が継続した。国内外の観光客の減少から店舗や宿泊施設については収益性の低下が見られるものの、緊急事態宣言解除後は国内観光客が回復傾向にあり、下落地点についても下落率は縮小傾向にある。なお、阪急大宮駅前の利便性に優れた立地でマンション用地としての需要が高まっている京都下京5-3が上昇率+9.2%で、府内商業地の地価上昇率第1位となった。
- 京都市以外の圏域内市町では、向日市で上昇が継続し、木津川市で横ばいから上昇、長岡京市、八幡市、京田辺市で下落から横ばいとなった。また、亀岡市、南丹市で横ばいが継続、宇治市は下落が継続している。
(変動率:%)
住宅地 | 商業地 | |||||
令和3年 | 令和4年 | 令和3年 | 令和4年 | |||
京都府(注1) | △0.6 | 0.2 | △1.9 | 0.7 | ||
京都市 | △0.4 | 0.5 | △2.1 | 0.7 | ||
中心5区(注2) | 0.0 | 0.7 | △1.1 | 1.3 | ||
その他 | △0.8 | △0.2 | △0.7 | 0.8 |
(注1) 京都府のうち大阪圏の圏域の変動率
(注2)京都市の中心5区とは、北区、上京区、左京区、中京区、下京区の各区。
(参考資料)
・国土交通省「令和4年地価公示」、「標準地・基準地検索システム」
・大阪府「令和4年地価公示結果」
・兵庫県「令和4年地価公示(兵庫県分)の結果」
・京都府「地価公示(京都府)の結果について」
■ ご質問などは、株式会社中央不動産鑑定所 大阪支所まで