横浜は坂の多い町です。夏の暑い時期、歩くには特にこたえます。
横浜に坂が多いのは、その地形が複雑で起伏に富んでいるからです。横浜市は多摩・三浦丘陵の中央部に位置し、その主稜線が市の中央部よりやや西側をほぼ南北に縦断しています。この主稜線は分水嶺となり、主にここを源流として、東京湾や相模湾に複数の川が流れています。
そして、臨海部には、下末吉台地が、かつての海岸線の名残をとどめる崖線として屏風のように広がっています。
低い丘陵の連なりと短い幾筋もの河川、そして海に向かって反り返るような崖線からなる特徴的な地形により、自ずと坂の多い町となりました。
最近の傾向として、最寄駅から坂がきつい住宅地は敬遠される傾向があります。そのため、このようなエリアの地価は全体的には弱含みです。
しかしながら、横浜市・神奈川県内においても屈指の高級住宅街である山手町エリアは、最寄駅からの坂がきつい高台にありますが、平成31年の地価公示では、当エリアのポイントが県内トップの価格をつけており(667千円/㎡)、また、地価上昇率も県内トップテンに入っています(対前年変動率+6.7%・順位第8位)。
このようなエリアでは、利便性よりも居住の快適性等が重視されるということでしょう。
あくまで裏付けの一つですが、横浜は坂が多いということがわかる証として、急傾斜地崩壊危険区域(傾斜度30度以上、高さ5m以上等の急傾斜地で、その崩壊により相当数の居住者等に危害が生ずるおそれのあるもの、およびこれに隣接する土地で法律に基づき都道府県知事が指定する区域)に指定されている箇所が多いということが挙げられます。
横浜市では、本コラム執筆時点で714箇所指定されていますが、これは、神奈川県全体における指定箇所(1,586箇所)の約45%を占めます。
首都圏における他の地域をみてみると、東京都で59箇所、千葉県で536箇所、埼玉県で94箇所なので、いかに横浜市が起伏に富んだ複雑な地形を有している、すなわち、坂が多い町であるということがわかるかと思います。
県外から引っ越してこられた方などからは、「横浜はほんと坂が多いね」という声を聞くことが多々あります。
坂が多いということで、日常生活では不便なこともありますが、一方で、複雑な地形が織りなす美しい風景や、高台からの眺望などは横浜の魅力のひとつです。
また、体力づくりや足腰を鍛えるにはもってこいではないかと思います。
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