企業会計基準等において求めることとされている不動産の価格を「財表価格調査の基本的考え方」に定める方法により求める価格調査をいい、原則として鑑定評価基準に則った鑑定評価(簡易ではない正式な鑑定評価)を行います。また、原則的時価算定である旨を成果報告書に記載しなければなりません。例外( = 鑑定評価基準に則らない価格調査)としては、鑑定評価基準に則らないことに合理的な理由がある場合があげられます。これら例外のケースは次のようになります。
(1) 造成工事中又は建築工事中の状態を所与として対象不動産に建物以外の建設仮勘定(未竣工建物及び構築物に係る既施工部分)を含む価格調査を行う場合
(2) 造成工事又は建築工事の完了後の状態を前提として行う価格調査を行う場合
(3) 土壌汚染の可能性を考慮外とする価格調査を行う場合
(4) 建物環境についてアスベスト等の有害物質の存在の可能性を考慮外とする価格調査を行う場合
(5) 埋蔵文化財又は地下埋設物の埋蔵又は埋設の可能性を考慮外とする価格調査を行う場合
(6) 過去に鑑定評価基準に則った鑑定評価が行われたことがある不動産の再評価を行う場合
ただし、直近に行われた不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価又はそれ以外の原則的時価算定を行ったときから、相対的に説得力が高いと認められる鑑定評価手法の選択適用により求められた価格や適切に市場価格を反映していると考えられる指標に重要な変化が生じていない場合には、直近に行われた鑑定評価基準に則った鑑定評価又はそれ以外の原則的時価算定に、対象不動産の種類に応じた適切な調整を行い時価を算定することを妨げないとされています(原則的時価算定に準じた算定)。
上記によれば、原則的時価算定は以下のサイクルで行うことになりますが、 GIPS*により、3年に一度は正式な鑑定評価が求められています。
正式な鑑定評価…1年目:価格時点X年Y月Z日(適用可能な評価手法は全て適用)
正式な鑑定評価の時点修正…2年目:価格時点X+1年Y月Z日(評価手法等は1つでも良い)
正式な鑑定評価の時点修正…3年目:価格時点X+2年Y月Z日(同上)
正式な再鑑定評価…4年目:価格時点X+3年Y月Z日(適用可能な評価手法は全て適用)
以降、繰り返し
※グローバル投資パフォーマンス基準(Global Investment Performance Standards)は、投資パフォーマンス実績の公正な表示と完全な開示を確保するために定められた基準で、日本証券アナリスト協会が批准しています。