サービス・アパートメント(以下、SA)は、都市計画法や建築基準法等、公法上の定義・基準はないが、ホテルとマンションの中間の機能をもった住居をいい、以下の特徴を備えている。
- 通常の生活に必要な家具、家電、生活用品は、全て備えられており、ホテルのように直ちに居住可能である。
- ホテルやウイークリーマンションとは異なり、旅館業法の適用はなく、あくまでも建物賃貸借契約である。
- ターゲットは、中長期滞在の外国人ビジネスマンや自宅の建替等、一時的な仮住まいを必要とする邦人などで、マンスリー単位の契約が一般的である。
- コンシェルジュサービス、室内清掃、リネン交換等を提供している物件が多いが、 食事は、提供されていない。
- 家賃相場は、近傍のマンションに較べて相当に高額であるが、トータルコストでみると、ホテルを利用するよりは安い。
以上から、SAの立地としては、大都市・都心部にあって、生活利便性が高く、かつ、居住環境も比較的良好なエリアが適しているとされている。
SAの鑑定評価にあたっては、ホテルの鑑定評価に準じて、収益還元法(DCF法及び直接還元法)により、ADR(平均貸室単価)・RevPAR(販売可能貸室数あたりの貸室売上)、GOP(営業総利益)等を査定し、オペレーター・フィーなど控除後のNCF(ネットキャッシュフロー)から、負担可能賃料を算定して求めることが一般的である。また、SAの収益性は、オペレーターの運営能力に依存することもホテルの鑑定評価と同様であるが、SAの場合は、外国人の利用比率が高いため、国内・外資を問わず、グローバルなネットワークを有するオペレーターか、どうかもポイントになる。