土壌汚染とは、工場等からの排水等の漏洩や不法投棄、事故や不適正な処理により、有害物質が誤って土壌中に排水され、蓄積されている状態のことをいう。
土壌汚染については、これまで明らかになることが少なかったが、近年、工場跡地等がマンション敷地として開発されるケ-スが増加したことで、重金属、揮発性有機化合物等による土壌汚染が顕在化し、有害物質による土壌汚染を放置すれば人の健康に影響を及ぼすことが懸念されるようになった。
しかし、平成15年2月15日に施行された「土壌汚染対策法」により、有害物質を取り扱っていた工場等を廃止する場合や、土壌汚染の可能性が高い工場跡地等は、土地の所有者に汚染状況を調査することを義務付け、調査の結果、有害物質の量が基準値を超えている場合には、都道府県等がその土地を土壌汚染指定区域に指定した上で、台帳を作成し、公開することが規定された。
不動産鑑定評価基準においても、土地に関する個別的要因の一つとして「土壌汚染の有無及びその状態」が挙げられており、鑑定評価作業において、不動産鑑定士等は下記の調査(フェイズⅠ)を行っている。
- 役所等での調査
対象不動産が有害物質使用特定施設に該当するか否かの調査を行う。 - 地歴調査
(1)不動産登記簿調査
(2)過去の住宅地図、地形図等により土地利用調査を行う。 - ヒアリング調査
土地所有者、近隣の地権者等に対して過去の土地利用等をヒアリングする。
以上の調査の結果、土壌汚染が存する可能性がないと判断された場合には、不動産価格への影響がないものとして鑑定評価を行い、土壌汚染の可能性を否定できない場合には、専門家による土壌汚染に関する調査を依頼する等、その結果を踏まえて鑑定評価を行うことになる。