公営住宅や空港などではコンセッション方式が広まりつつあるが、上水道事業では、今のところ実施されていない。水道は最も重要な生活インフラであるため、収益性を重視する民間に委ねることは、供給や安全への不安、料金値上げなど、住民の根強い警戒感があり、理解が得られにくいためと考えられる。 しかし、コンセッション方式は、水道施設の老朽化、少子・高齢化、地方都市の過疎化といった問題に対する有効な解決策と期待されている。 コンセッション方式を導入する住民側のメリットは、運営委託者の幅広い民間ノウハウや創意工夫の発揮が可能になり、サービスの向上、市場の競争原理が働くことで、料金の低廉化が進むことにあるといわれている。 公共側のメリットとしては、組織のスリム化やより需要が高まる分野への職員再配置などが可能となり、施設更新等の財源も確保されることにある。 公共機関は、コンセッション方式に対する住民の理解が得られるように時間をかけて粘り強く周知する必要がある。