2000年代初頭から投資家にとって新たな選択肢として注目を集めているのが「不動産証券化」です。
従来の不動産投資とは異なり、小口資金で始められる手軽さと、安定収益を得られる可能性がある点が魅力です。
不動産証券化には主に「資産運用型」と「資産流動化型」の2タイプに分かれます。
本記事ではそれぞれの特徴と、メリット・デメリットについて解説したいと思います。
不動産の証券化について詳しく知りたい方はこちらをクリックしてください。
不動産証券化の2つのタイプについて
不動産証券化には「資産運用型」と「資産流動化型」に大きく分かれますが
資産運用型は資金があることが前提で、資産流動化型は資産があることが前提です。
具体的にはどういう事でしょうか?
不動産証券化「資産運用型」について
資産運用型は文字通り資産(カネ)を運用します。
簡単に言えば、投資家や銀行から資金を集めて不動産に投資し、その収益を分配する仕組みです。
以前説明したJリートがその例に当たります。
一方で運用する資金が無いといけないことから「資金ありきの不動産証券化」とも言われております。
資金が集まればさまざまな不動産を証券化できるため、流動化型と比べて不動産を持っていなくても不動産証券化を行うことが可能です。
この特性により、不動産証券化市場は活性化し、拡大することができました。
資産運用型の特徴とは?
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AMにとって活躍の場になる
不動産証券化の資産運用型の特徴として、最初から不動産を持っているわけではないのでSPCが不動産を購入します。
しかし購入した不動産を管理する人が必要です。(テナント管理や融資返済など)
それを管理するのはAM(アセットマネージャー)です。
不動産会社や投資顧問会社、信託銀行などがAMとして、多様な業務を統括し、進捗を管理しています。
AMは資金を集めると同時に、不動産の取得や証券化業務を担当しています。
業務の多様化に伴い、報酬も増加します。資産運用型の場合、運用成績に応じて報酬が変動します。
報酬体系は運用資産残高や運用収益の一定割合で設定され、
不動産取得時には取得金額の一定割合が適用されます。
そのことから、資産運用型はAMにとってのビジネスチャンスになることができます。
オリジネーターのSPCに対するエクイティ投資(株式や社債)が5%以内であれば
オリジネーターもAMになることができます。
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資金次第で様々な選択肢が増える
資金運用型は
①資金を用意する
②不動産を購入する
という流れなので
資金の金額次第では様々な種類の不動産を購入することができます。
さらに資産流動化型と違って、不動産の入れ替えも可能になります。
対応する法律には「投資信託及び投資法人に関する法律」等があります。
不動産証券化「資産流動化型」について
不動産証券化において資産流動化型は最も一般的に普及している型です。
資産運用型と比べて、資産流動化型は所有する資産がないといけないので「資産(モノ)がありき不動産証券化」ともいわれております。
不動産の所有者(オリジネーター)が、所有している不動産をSPC(特別目的会社)に売却し、
SPCはその不動産の収益を基にした証券を発行して資金を調達します。
SPC(特別目的会社)に関しての記事はこちらをクリックしてください。
資産流動化型の特徴とは?
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オフバランス化
経営における貸借対照表(バランスシート)の資産項目は比重の大きいもので、貸借対照表の結果で銀行から融資が下りないケースもあります。
しかし資産の流動化をしてしまえば、不動産という資産を、資産項目から外す(オフバランス)事ができ、企業の貸借対照表から除外され、証券化によって得られた資金を他の事業に再投資したり、有利子負債の削減を行ったり財務体質の改善も図れます。
特に、含み益のある資産を証券化することで、企業の潜在的な収益力を財務諸表上に明確に示すことが可能になります。
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新たな資金調達
不動産の証券化では、通常の間接金融と異なり、不動産から直接生み出される収益に基づいて資金調達が行われます。その代表例がノンリコースローンです。これは、担保を特定の不動産に限定し、他の財産や不動産を担保として使用することができない借入方法です。こうした新たな資金調達手段の選択肢が、従来の資金調達手段に追加されています。
対応する法律には「資産の流動化に関する法律」等があります。
「資産運用型」・「資産流動化型」の特徴まとめ
いかがでしたでしょうか?
不動産証券化において、「資金」があること前提なのが資産運用型で、
「資産」があること前提なのが資産流動化型にあたります。
投資を検討する際は、利回りや分配金だけではなく、リスクなどのデメリットも考慮する必要があります。
これらのメリットとデメリットを理解した上で、自身の投資目的に合致するかどうかを慎重に判断することが重要です。
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