不動産証券化は、資金調達手段として利用される一方で、投資期間終了後に投資家への資金回収を確実に行うための出口戦略が必要です。
この出口戦略は、証券化が終了する際に重要な役割を果たし、不動産市場における成功の鍵となります。
以下では、不動産証券化における代表的な出口戦略について解説します。
出口戦略とは?
出口戦略は金融政策でよく使われる用語で、景気低迷時に実施された低金利政策や財政支出策を、景気回復後に解除するプロセスを指します。不動産証券化においても、出口戦略は重要です。
証券化は有期の資金調達手段であり、終了時にはSPC(特別目的会社)が清算され、負債返済のための資金調達が必要となります。具体的な手段としては、不動産の売却やリファイナンスがあります。また、証券化の開始時点で有利な売却先を見込んでおき、期間中に売却する場合もあります。
不動産証券化における出口戦略とは?
国土交通省の説明には以下のように記載があります。
ベンチャー企業等の株式や不動産等に対して投資を行った投資ファンド(ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティファンド、不動産私募ファンド等) は、ファンドの投資期限内に、当該投資資金を回収する必要があり、基本的には、投資を行った株式や不動産等を売却することにより、当該投資から退出 (Exit)し資金を回収する。当該投下資本の回収手段を Exit 戦略ともいう。 不動産私募ファンドは、資金回収に比較的長い期間を必要とするため、投下資 本を流動化する戦略が特に重要視されている。
引用:国土交通省HP
不動産証券化が終了すると、投資家に出資金を償還するために、証券化した不動産を売却し、その売却益を含む残額を運用益として投資家に分配します。この最終的な売却プロセスはディスポジション(処分)と呼ばれます。
ディスポジションでは、市場調査が不可欠であり、売却のタイミングを見極めるために不動産売買のマーケット動向を常に注視する必要があります。買い手が見つからなければ取引は成立しないため、この業務は非常に重要です。
こうしたディスポジション業務は、資産運用会社(アセットマネジメント会社)の主要業務の一つです。
まとめ
不動産証券化における出口戦略は、多岐にわたる方法があります。
投資家へのリターンを確保するためには、リファイナンス、ディスポジションなどのExit戦略が重要です。
これらの戦略を効果的に組み合わせることで、不動産証券化の成功と持続可能な成長を実現することができます。
不動産市場の動向を常に注視し、最適なタイミングでの出口戦略を実行することが求められます。