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環境不動産とはどういう意味?詳しく説明します。

近年、環境問題への意識が高まり、企業や個人の間で持続可能な生活やビジネスの実現が求められています。その中でも注目を集めているのが「環境不動産」です。

環境不動産は、エネルギー効率が高く、環境に配慮した設計と建設を行う不動産を指します。

環境不動産の特徴とは

環境不動産市場は世界的に拡大しています。特に欧米諸国では、政府や自治体が環境規制を強化し、企業もESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点から環境不動産に積極的に取り組んでいます。

日本でも、2020年の「グリーン成長戦略」に基づき、環境配慮型の建設が奨励されており、各地で環境不動産プロジェクトが進行中です。例えば、一部の自治体では環境性能の高い建物に対する税制優遇措置や補助金が提供され、環境不動産の普及が促進されています。

具体的な環境不動産の特徴は以下の通りです。

環境不動産の特徴

  1. エネルギー効率の向上

断熱性能の高い建材の使用 建物の断熱性能を高めることで、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるようにし、冷暖房のエネルギー消費を削減。高効率の冷暖房設備の導入 エネルギーを効率的に利用する最新の冷暖房設備を導入し、電力消費を抑える。再生可能エネルギーの活用 太陽光発電、風力発電、地熱利用など、再生可能エネルギーを積極的に取り入れて電力を供給。

  1. 資源の持続可能な利用

雨水の再利用システム 建物の屋根や敷地に降る雨水を集めて再利用するシステムを導入し、水資源の有効活用を図る。節水型設備の導入 高効率のトイレや蛇口など節水型設備を設置し、無駄な水の使用を抑える。環境に優しい建材の使用 リサイクル資材や持続可能な森林管理のもとで生産された木材など、環境負荷の低い建材を利用。

  1. 環境保護の配慮

緑化の推進 建物の周囲や屋上を緑化することで、都市のヒートアイランド現象を軽減し、自然環境を整える。環境への影響を最小限に抑える建設手法 低騒音、低振動の工法や、建設過程で出る廃棄物を最小限にする取り組みを採用。建物周辺の生態系保護 自然と調和したデザインを採用することで、周辺の生態系を保護し、地域環境との共生を図る。

環境不動産のメリットとは?

環境不動産には多くのメリットがあります。

  1. 経済的メリット

エネルギー消費の削減 高効率の設備や再生可能エネルギーの利用により、日々の光熱費を大幅に削減。長期的な維持管理費の低減 質の高い建材や省エネ設備を使用することで、建物の劣化を抑え、維持管理費を低減。市場価値の向上 環境に配慮した建物はエコ意識の高い顧客からの需要が高く、資産価値が上がりやすいです。

  1. 健康と快適性の向上

室内空気質の改善 換気システムの改良や自然素材の使用により、室内の空気の質を向上させ、健康に良い環境を提供。快適な室温の維持 断熱性能の向上に加え、自然光や通風を取り入れた設計で、快適な室温を維持。自然光の活用 大きな窓や中庭の設計により、自然光を積極的に取り入れて、健康や生産性を向上。

  1. 企業のイメージ向上

ブランド価値の向上 環境意識の高い企業として、取引先や消費者からの評価が向上。CSR(企業の社会的責任)活動の一環 環境不動産の利用はCSR活動の一環として高く評価され、企業イメージの向上につながります。環境配慮型の建物はエコ意識の高い顧客からの需要が高く、賃料や売却価格が上がりやすい。

環境不動産の導入事例

実際にどのような環境不動産が存在するのか、具体例を紹介します。

  • ローム株式会社の環境性能向上に向けた取組

背景と課題認識

ローム株式会社は、工場部門に比べて事業所ビルの省エネ化が不足していると認識し、2008年から2010年にかけて自社運用中のローム京都駅前ビルを全面改修しました。改修のキーワードは「景観」「環境」「安全」でした。

景観

隣接ビルと統一感のあるスカイラインを形成

自社製LED照明によるビルのライトアップ(「京の光暦」)

屋上緑化と太陽光パネルの活用で美しい屋上景観を維持

環境

ダブルスキン壁面や屋上緑化による負荷抑制

自然エネルギー(自然通風や昼光利用)の活用

高効率機器(空調機やLED照明)の導入

BEMSによるエネルギー消費の見える化

安全性

耐震性向上とビル正面側の眺望確保

非常用エレベーターの増設

受変電設備の屋上移設

施工配慮

周辺道路交通や安全性への十分な配慮

これらの取組により、ローム株式会社は景観美と環境性能、安全性を高めたビル改修を実現しました。

  • 新丸の内ビルディング(三菱地所株式会社)の取り組み

再生可能エネルギーの導入

新丸の内ビルディングでは、2010年4月から全電力を再生可能エネルギー(風力発電など)に切り替えました。この電力は二又風力開発(青森県六ヶ所村)の風力発電施設で発電され、出光興産の関係会社が送電網を通じて供給しています。この「生グリーン電力」によって、同ビルのCO2排出量を年間約2万トン、従来の約2/3まで削減しています。また、この取り組みは温暖化ガス排出量の算定・報告・公表制度において排出量を原則ゼロとして報告可能であり、東京都の温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度においても「再エネクレジット」を獲得できます。

省エネ対策を総合的に進めるためには、設備面での対策に加え、テナントによる運用面での対策も重要です。三菱地所株式会社は、2010年6月から「e-concierge(イー・コンシェルジュ)」というテナント向けの情報提供サービスを開始しました。このサービスにより、テナント各室のエネルギー使用量を開示し、過去のデータとの比較も可能としました。これにより、改正省エネルギー法に基づくエネルギー使用量の情報提供義務に対応するとともに、テナントのエネルギー消費量削減行動を促進しています。

 まとめ

環境不動産は、持続可能な未来への重要な一歩です。今後、環境不動産の需要はさらに高まると予想されます。気候変動への対応が急務となる中、持続可能な建築と生活の実現が不可欠です。技術革新や政策支援が進むことで、環境不動産の普及は一層進むでしょう。また、スマート技術やIoTの進化により、環境不動産の管理と運営が一層効率的になり、利用者の利便性が向上することも期待されます。

エネルギー効率の向上や資源の持続可能な利用、環境保護の配慮といった特徴を持つこれらの不動産は、経済的なメリットだけでなく、健康や快適性の向上、企業のイメージ向上にも寄与します。市場の動向を注視し、積極的に環境不動産への投資を検討することが、今後のビジネスや生活において重要となるでしょう。また、個人や企業としても、持続可能な選択が将来の環境と社会にどのように影響を与えるかを考え、行動することが求められます。

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