GRESB(Global Real Estate Sustainability Benchmark)は、不動産関連企業やファンドの環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮を評価する制度です。2009年にPRIを主導した欧州の主要年金グループを中心に創設され、主に投資先の選定やESGへの取り組みの透明性を高めるために活用されています。一般的には「グレスビー」、「グレスブ」と呼ばれています。
GRESB評価の種類とは
GRESBには2つの評価カテゴリーがあります。1つ目は「GRESBリアルエステート」で、不動産会社やファンドを対象に、不動産の既存物件や新規物件の開発・大規模改修におけるESGへの取り組みと、その情報開示を評価します。
2つ目は「GRESBインフラストラクチャー」で、インフラ会社やファンドを対象に、インフラファンドの投資プロセスやインフラ会社・オペレータの運用、そしてそのESG情報の開示を評価します。「GRESBリアルエステート」は2009年、「GRESBインフラストラクチャー」は2016年に始まった不動産とインフラの評価システムです。
日本におけるGRESBの利用状況
日本では、特にオフィスビルを運用するJREIT(不動産投資信託)投資法人がGRESBを利用し、サステナビリティへの取り組みを公表しています。これにより、投資家やステークホルダーに対して企業のESGに対するコミットメントを示すことができ、信頼性を高める効果があります。
2022年のGRESBリアルエステートの評価には全世界で1,820社・ファンドが参加し、170機関の投資家がGRESBを活用、その資産運用額は51兆米ドルに達しました。日本からは122社・ファンドが参加し、そのうちJ-REITは57社で、J-REIT市場の時価総額の99%以上を占めています。
GRESB評価の重要性
GRESB評価は、単なる環境配慮に留まらず、社会的責任やガバナンスも含めた総合的なサステナビリティ評価を提供します。このため、GRESBスコアの高い企業やファンドは、持続可能な経営を実践していると評価され、投資家からの支持を得やすくなります。
GRESBスコアの向上に向けた取り組み
GRESBスコアを向上させるためには、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入、従業員の福祉向上、透明なガバナンス体制の構築などが求められます。これらの取り組みを強化することで、企業は社会的責任を果たしながら、競争力を高めることができます。
まとめ
GRESBは、不動産業界におけるESG評価の標準となりつつあり、日本でもその重要性が増しています。サステナビリティを重視する企業は、GRESB評価を活用することで、長期的な価値創造を目指すと同時に、社会的責任を果たしていくことが求められます。