【鑑定実務】いろは講座・4日目
このサイトは当社求人に応募をご検討中の方々に向け、当社の若手社員を対象とした社内研修で用いた講義レジュメを公開しています。
4日目の講義レジュメ
【不動産鑑定評価の依頼受付(その2)】
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- 今回は不動産鑑定評価の依頼受付の講義の第二回目です。
- 3日目の講義のとおり、不動産鑑定評価の依頼を受ける時は、対象不動産や依頼目的をはじめ、様々な事項を依頼者に確認する必要があります。
- 今回は条件設定と成果品の種類(鑑定評価書と調査報告書)についての講義です。依頼内容をそのまま受け入れることなく、前回と同様に特に「鑑定評価書の利用者の利害を害する恐れがないか」注意する必要があります。
依頼受付3(対象確定条件)
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- 現況所与(図参照)
- 土地…底地
- 建物及びその敷地…借地権付建物(自用)
- 現況所与(図参照)
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- 条件設定
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- 更地として
現況は借地権付建物が存しているが、当該建物及び借地権がないものとして
- 更地として
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- 自用の建物及びその敷地として
土地所有者が借地権を購入するものとして購入後の建物及びその敷地の価格を求める
借地権者が底地を購入するものとして購入後の建物及びその敷地の価格を求める
- 自用の建物及びその敷地として
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- 条件設定の要件
鑑定評価書の利用者の利益を害する恐れがない
- 条件設定の要件
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依頼受付4(想定上の条件・調査範囲等条件)
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- 想定上の条件
- 現実の価格形成要因と異なる状態を前提として評価する
- 地域要因の例…第一種住居地域であるが商業地域へ変更されたものとして
- 個別的要因の例…土壌汚染が存するが汚染が除去されたものとして
- 条件設定の要件
- 鑑定評価書の利用者の利益を害する恐れがない
- 実現性、合法性の観点から妥当
- 現実の価格形成要因と異なる状態を前提として評価する
- 調査範囲等条件
- 不動産鑑定士の通常の調査範囲では価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な価格形成要因に係る条件を設定し評価する
- 土壌汚染の有無及びその状態については不動産鑑定士が過去地図及び登記簿の調査を行い、その結果を報告書に記載するが、価格形成要因から除外する。
- 条件設定の要件
- 鑑定評価書の利用者の利益を害する恐れがない
例:専門家が土壌汚染調査を行っており、当該結果により価格への影響を判断できる。
- 鑑定評価書の利用者の利益を害する恐れがない
- 不動産鑑定士の通常の調査範囲では価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な価格形成要因に係る条件を設定し評価する
- 想定上の条件
依頼受付5(鑑定評価書と調査報告書)
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- 鑑定評価基準の手順に則る(原則手順は省略できない)⇒鑑定評価(鑑定評価書)
- 鑑定評価の手順の一部を省略⇒調査報告(調査報告書、価格調査書、賃料調査書、意見書)
- 手順の一部を省略とは
- 実地調査を省略する
- 対象不動産は投資用不動産(テナントが入居するビルなど)であり、3手法のうち収益還元法のみを適用する
- 調査報告とする場合は調査報告書を利用する者を限定する必要がある
- 社内に限り利用することを受付時に確認する
- 開示先がある場合は、開示先から鑑定評価の手順を一部省略することに了解を得る
- 不特定多数が利用する場合は調査報告書は原則不可
- 手順の一部を省略とは
株式会社中央不動産鑑定所 研修委員会