【鑑定実務】いろは講座・8日目
このサイトは当社求人に応募をご検討中の方々に向け、当社の若手社員を対象とした社内研修で用いた講義レジュメを公開しています。
8日目の講義レジュメ
【収益還元法(貸家及びその敷地の評価)】
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- 今回は収益還元法(主に貸家及びその敷地の評価)の講義です。
- 収益還元法(DCF法と直接還元法)はJリート物件の鑑定評価をはじめ、実務では頻繁に用いる手法です。
- 純収益と利回りを適切に査定する必要があり、依頼者提示や類似物件の資料、マーケット資料等を慎重に分析します。
- エンジニアリングレポートやPMレポートなど、証券化の鑑定評価で必須となる資料の適切な活用方法も学びます。
- 有期還元法や開発型DCF法など、やや特殊な手法を用いることもあります。
収益還元法(1)(賃貸マンションの純収益・利回りの査定)
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- 運営収益の査定
- 賃貸借契約一覧表(レントロール)等で現状の貸室賃料収入等を把握
- 現状の貸室賃料等と類似物件の賃料等と比較し、現状の賃料等が将来にわたり安定的に得られるか検証のうえ、貸室賃料収入等を査定
- 敷金・礼金・更新料等の一時金は地域の取引慣行を考慮して査定
- 運営収益の査定
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- 運営費用(資本的支出含む)の査定
- 維持管理費・水道光熱費等はPMレポート等で過去の実績を分析して査定
- PMフィーはプロパティマネジメント契約書に基づき査定
- 公租公課・損害保険料は直近の実績に基づき査定
- 小規模修繕費・資本的支出はエンジニアリングレポート記載の修繕更新費用を類似物件の実績等で検証し、対象不動産の修繕更新履歴や不動産鑑定士の実地調査等を踏まえ査定
- 運営費用(資本的支出含む)の査定
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- 利回りの査定
- Jリート投資法人の開示資料等で得られる利回り事例を多数収集
- 対象不動産の地域性・個別性等を勘案して利回りを査定
- 利回りの査定
収益還元法(2)(やや特殊な手法)
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- 有期還元法
- 契約残存期間が短い事業用定期借地権の付着した土地(底地)などの収益価格は有期還元法で試算
- 契約残存期間中は地代等を運営収益、公租公課等を運営費用として計上
- 契約終了時に土地が返還されるため、更地復帰価格の現在価値を計上
- 開発型DCF法
- 開発中の投資用不動産の土地価格は開発型DCF法で試算
- 竣工後の貸家及びその敷地の収益価格の現在価値から、開発期間中の費用(建築費、公租公課等)の現在価値を控除して、開発型DCF法による収益価格(土地価格)を試算
- 開発中土地の利回りは、竣工後貸家及びその敷地の利回りに開発リスクを考慮して査定
- 有期還元法
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株式会社中央不動産鑑定所 研修委員会