【鑑定実務】いろは講座・9日目
このサイトは当社求人に応募をご検討中の方々に向け、当社の若手社員を対象とした社内研修で用いた講義レジュメを公開しています。
9日目の講義レジュメ
【試算価格の調整・鑑定評価額の決定】
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- 今回は試算価格の調整と鑑定評価額の決定の講義です。
- 各試算価格の再吟味においては、各試算価格について誤りがなかったか、整合性が取れているかチェックします。
- 各試算価格が有する説得力に係る判断においては、どの手法が市場参加者の属性と行動に最も適合しているのか、また、採用した資料の相対的信頼性について検討します。
- 鑑定評価の全ての手順を尽くした後、各試算価格を調整のうえ、鑑定評価額を決定します。
各試算価格の再吟味等
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- 三方式の併用が困難な場合における参酌
- 貸家及びその敷地の評価において、比較可能な建物及びその敷地の取引事例が収集できなかったため、取引事例比較法は適用しなかった。
- 取引事例との比較の観点は収益還元法における還元利回りの査定において反映させた。
- 貸家及びその敷地の評価において、比較可能な建物及びその敷地の取引事例が収集できなかったため、取引事例比較法は適用しなかった。
- 三方式の併用が困難な場合における参酌
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- 各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性
- 自用の建物及びその敷地の評価において、現地調査で建物が経年よりも劣化が進んでいることが判明した。
- 原価法の建物価格の査定において観察減価法を用いて減価した。
- 収益還元法の資本的支出の査定において劣化部分の更新費用を計上した。
- 区分所有建物及びその敷地(マンション)の評価においては、専有部分の階層・眺望・開口部方位等の違いが取引価格等に反映される。
- 原価法の階層別・位置別効用比の査定において当該要因を反映した。
- 取引事例比較法の取引事例との比較において、当該要因を考慮して比較を行った。
- 自用の建物及びその敷地の評価において、現地調査で建物が経年よりも劣化が進んでいることが判明した。
- 各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性
鑑定評価額の決定(類型ごとの例)
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- 更地(戸建住宅地)
- 対象不動産の需要者は自己利用目的の個人が中心であるため、収益価格は参考に留め、比準価格を採用。
- 貸家及びその敷地(賃貸マンション)
- 対象不動産の需要者は収益性を重視する投資家が中心であるため、積算価格は参考に留め、収益価格を採用。
- 新規家賃(店舗)
- 対象不動産の需要者は市場性を重視する法人が中心であるため、積算賃料は参考に留め、比準賃料を採用。
- 更地(戸建住宅地)
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株式会社中央不動産鑑定所 研修委員会