親族や家族からマンションを相続する際には、さまざまな手続きと注意点が必要です。
遺産相続には複雑な法律が絡み、手続きをスムーズに進めるためには、基本的な流れを理解しておくことが重要です。相続税の申告や名義変更など、相続に関する手続きには期限があり、適切に行わなければ不要なトラブルやコストが発生する可能性もあります。
本記事では、マンションを相続する際の基本的な手順から、知っておきたいポイントまでをわかりやすく解説します。初めて相続手続きを行う方や手続きに不安を抱えている方に向けて、スムーズに進めるためのガイドとしてお役立てください。
相続人の特定と遺言書の確認
マンション相続において最初に行うべき手続きは、相続人の特定と遺言書の確認です。
遺言書が存在する場合、その内容が優先されますので、法務局などで保管されている遺言書の有無を確認することが重要です。また、遺言書がない場合は法定相続分に基づき、相続人を確定します。
この際、戸籍謄本や住民票などを利用して正確に相続人を特定する必要があります。
名義変更のための相続登記の流れ
マンションを相続した場合、名義変更手続きを行う必要があります。2024年4月からは相続登記が法律で義務化されるため、適切に手続きを進めることが求められます。
相続手続きの流れとしては、まず相続人が決定した後に遺産分割協議を行い、
その結果をもとに遺産分割協議書を作成し、その後、名義変更のために登記申請を行います。
遺言書がない場合、法定相続分以外の割合で遺産を分割する場合には、
遺産分割協議書が必要になるので注意が必要です。
遺産分割の4つの方法については下記記事を参照してください。
必要書類と提出期限
マンションの相続手続きに必要な書類には、戸籍謄本や相続人の住民票、不動産登記簿謄本、遺産分割協議書などがあります。
登録免許税やその他の費用
マンション相続の際には、相続登記を行う必要があります。この手続きには登録免許税が発生し、これは不動産の固定資産評価額の0.4%をベースに計算されます。
固定資産評価税×0.4％
さらに、名義変更手続きには戸籍謄本や住民票などの必要書類を準備する費用もかかります。加えて、司法書士に手続きを依頼する場合、司法書士報酬が発生します。
この費用は案件によって異なるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
親のマンションを相続する際にはこれらの手続き費用を十分に考慮し、総合的な予算を立てることが相続手続きの円滑な進行に寄与します。
売却や賃貸として活用する場合
相続したマンションを売却や賃貸として活用する選択もあります。
この場合も、まず名義変更や相続登記を終えた状態で取引を進める必要があります。
売却する際には、相続税の観点から評価額の確認と、その時点における市場価値をきちんと把握し、適切な価格設定を行うことが重要です。
さらに、売却手続きの流れにおいては、仲介業者の選定も慎重に行い、手数料や手続き費用を予め確認しておく必要があります。
一方、賃貸として活用する場合は、賃貸契約の締結と管理が求められます。
賃貸に出す場合は、賃貸経営に精通した管理会社と契約を結んでおくと安心です。また、相続したマンションを賃貸にする際は、借家人の選定や契約内容の明確化に配慮し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
どちらの選択も、それぞれの手続きに必要な書類や手続きをしっかりと確認し、準備を整えることが肝要です。
マンション相続時に利用できる控除や制度
マンションを相続する際、相続税などの負担を軽減するために、利用できる控除や特例制度があります。
以下に代表的な制度をご紹介します。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例を活用すると、相続する自宅の土地について、330平米までの評価額を80％減額することができます。
また、事業に使われていた土地も条件を満たせば、評価額が80％または50％減額される場合があります。
参考：国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例（小規模宅地等の特例）」
配偶者控除
配偶者控除は、相続した財産のうち、配偶者が取得した分について、法定相続分相当額（または1億6,000万円まで）の範囲内であれば相続税がかからない制度です。
この制度は「配偶者に対する相続税額の軽減」とも呼ばれ、配偶者にとって大きな負担軽減となります。
配偶者居住権
配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった際に、残された配偶者が無償で自宅に住み続ける権利です。
この権利を設定すると、建物の所有者は配偶者が住み続けられるよう、登記の手続きを行う必要があります。
参考：法務局「配偶者居住権とは
まとめ
マンション相続には複雑な手続きが伴います。相続税の負担を軽減できる特例や控除を適切に活用するには、専門的な知識が必要です。
スムーズで負担の少ない相続を実現するためには、信頼できる専門家に相談することが大切です。
専門家のサポートを活用しながら、計画的に手続きを進めることがマンション相続の成功につながるでしょう。
